万作さんが家に現れてから、特に変わった事も無く時間が流れた。

何か有ったかと聞かれても本当に何も無い。

万作さんの葬儀には何と無く、参列したけど…。
でも其所でも変わった事なんて無かった。
みんな、泣いて万作さんの死を悲しむ、それだけ。

云ったら悪いけど普通の葬儀だった。


普通じゃない葬儀なんて有っても困るんだけどね;





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





それから何日経っても万作さんが『成仏』する、ことは無かった。

話す内にどんどん万作さんに依存していく俺にとってはそれは嬉しいことだけど、

万作さんは―――?


死んだら何処へ行くのか、なんて知らない。

でも、此処に居るってことは此処に何か遣り残した事があるんじゃないの?
云うところの『未練』が―――。



















トゥルルルルルっ

突如、真夜中に電話のコール音が鳴り響いた。

「あぁ〜〜?誰ぇ?」

爆睡してたのに起こされた俺はかなり不機嫌にその電話に出る。

すると、

「あっ、瑠樺さんっ??……時間?有るっちゃー有るけど……公園?今から行くのぉ?……はーい、行きますぅー…じゃあ、また」

それは瑠樺さんからの呼び出しだった。

もう1時だよぉ?なのに『今から来い』とか有り得ない〜。俺は寝たいのに(泣)。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


指定された公園に入るとすぐに瑠樺さんは見付かった。

「あ、瑠樺さん!何か用〜?」

俺は早く帰って寝たい一心で話を切り出させようとした。

でも瑠樺さんは何も云わないでうつ向くだけで。
こんな夜中に呼び出したんだから何か大層な用事なんでしょ?

「もしもしぃ?瑠っ樺さぁ〜ん?」

顔を見ようと、うつ向く瑠樺さんの顔を覗き込むようにしたら、

「黄泉。」

「んっ…」

唇と、唇が重なり合って………?

もしかしなくてもキスされてるっ!?







「ヤっ……だぁっ!」

物凄い嫌悪感が走り、瑠樺さんを突き飛ばして、逃げた。

―――怖かった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




気が付けば俺は自分の部屋のベッドの上で蹲って居た。




―――瑠樺さんは好き。
でもあんなことを許せるまで、好きじゃないよ?


許せるのは、






其所で浮かんだのは、万作さんのキレーな笑顔。

「万作さん………?」

「呼んだぁ?」

思ったままに名を口にしたら、本人の御登場;

半透明で電気を付けていない部屋の暗闇じゃ見えにくいけど、じっと其の姿を見つめる。

「何っ?可愛い顔してぇ。俺に惚れたっ?」


――コクッ



「あ゛、」

思わず頷いちゃったよっ?
俺、万作さんのこと好きなのぉっ?

「へ?ホントに…?」

万作さんも目を丸くして驚いてるし;

これは否定した方が良いんだろうけど、――言葉が出なくて、逆に肯定するかのように顔がどんどん赤く染まるのが分かる。

―まさか、俺っ!?

俺、万作さんのこと好きなんだ…?


ドキドキしながらその場で何も云えなくなって居ると、

「あー!!何で俺、死んでんのっ!?」

万作さんが暴れだした;;;

俺が瑠樺さんを否定したように万作さんも俺を否定するかと思ったんだけど……?
これ、違うよね?

「何で?」

一人で喜んだり、悔しがったりしてコロコロと表情が変わる万作さんをまた、見つめると。
「だって俺、前から黄泉クンのコト好きだったんだよ?」

「ほえ?」

今、何と……?

「だから死んだ後も此処に飛んで居座ってんだと思うし、」

余りにもあっさり告げられた事実。

「そう、なの?」


「うん♪」

何か、何か、何か、理由はわかんないけど凄い脱力感に襲われた。


「思い、通じたりぃっ!」

でも呑気にピースしたりして、笑ってる万作さんを見てると俺まで笑顔になれるんだよね。
例え、彼が死んだ後でもこの人を好きになれて良かった、って思えて。

この日、瑠樺さんとあんなコトが有ったにも関わらず、俺は幸せな気分で、2度目の眠りに就くことができた。







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